ミラノファッションウィーク：ファッションは負けない、山河を立て直す

9月末、疫病以来ファッションの波がなかったイタリア・ミラノは、ミラノファッションウィーク2021春夏シリーズの開幕に伴い波紋を広げている。今年のミラノ・ファッションウィークには合計64回のファッションショーがあり、そのうち23回がラインオフショー、41回がラインオフショーで、ラインオフショーを選んだブランドは全体のファッションウィーク日程の3分の1以上を占めている。また、ファッションウィーク組織委員会の要求に応じて、ブランドショーは来場者数を制限し、社交的な距離と公共の安全を確保する必要がある。Dolce＆Gabbanaのショー会場には、来場者が自分のヒョウ柄カクテルドレスに刺繍を施した黒いレースマスク、例年、Fendiのショー会場は1500人の賓客を割り込むことが多かったが、今年は130人しか現場に残ることができなかった。写真家がモデルのリタ・オラに前列に近づき、Fendiが最近女装アートディレクターに任命したキム・ジョーンズと親密な写真を撮るように要求した時も、現場の警備員に迅速に介入して阻止され、2メートルの安全な社交距離を回復した。

抱団して自信を持って再建する

今年の伝統的な4大ファッションウィークでは、ニューヨーク会場でほぼ全ブランドのオンラインバーチャルファッションショーが開催された。ロンドンの会場では、ブランドデザイナーたちの多くがファッション編集者のグループに会って旬の新作を紹介することを選んでいる。10月に行われたパリファッションウィークの日程は20回の散発的なショーを予定しており、国際的な観客があまり参加していない状況では、現場はやや閑散としていることが予想される。現在、ヨーロッパの疫病は基本的に制御されているが、人々は依然としてこの第2ラウンドの疫病が土を巻いてきた圧力に直面しており、「オンライン+オフライン」のショーモード、社交距離、人の流れの制御などはファッションウィークの標準的な「新常態」になりつつある。

ミラノ・ファッションウィークの開催を前に、フランスメディアのフィガロ紙のトップ記事の見出しは、今季のファッションウィークが「惨敗」に終わると予言し、Bottega Veneta、Gucci、Jil Sanderが今季は観光客だけでショーに参加しない、VersaceとPradaは実体ショーからオンラインに変更された。エンティティーショーは社交的な距離を保たなければならない。ヨーロッパからの観光客は帰路隔離などに直面している。

2021春夏ミラノコレクションVersaceショー。ビジュアルチャイナ

しかし、欧州地域のファッション業界の疫病からの復帰を祝う第一の「役」として、今シーズンのミラノ・ファッション・ウィークは多くの人の心の中で「成功するだけで、失敗することは許されない」というものだった。「ミラノはファッションだ」イタリアファッション協会のカルロ・カパサ会長は最近の記者会見で、ミラノ・ファッション・ウィークはファッション界の復興活動としてより深い象徴的意義を持っていると述べた。「今年2月のミラノファッションウィークで、Giorgio Armaniがショーの中止を発表した時、すぐに世界トップニュースになりました。現在、イタリアはヨーロッパのほとんどの地域よりも第2波を防ぐことに成功しており、今シーズンのミラノファッションウィークはイタリアの営業再開を世界に示す機会です」

しかし、全体的に言えば、今季ミラノ・ファッションウィークで開催された実体ショーはニューヨークやロンドンよりも多く、データ上の暖かさはファッションに対する人々の情熱と自信が回復していることを証明している。今季のミラノファッションウィークでも多くのブランドが大きな動きを見せており、期待されるミウッチャ・プラダとRaf Simonsの新パートナーのデビューを見ることができる。イタリアで最も有名なブランドValentinoもパリファッションウィークを放棄してミラノファッションウィークに復帰し、日本人デザイナーのTomo KoizumaもブランドEmilio Pucciとのコラボシリーズを公開する。他にもMax Mara、Etro、Salvatore Ferragamo、Alberta Ferrettiなどのトップブランドは一貫して「抱団」を守り、数ヶ月間停止していたイタリアのファッション業界の歯車の再回転を断固として推進した。

イタリア国立ファッション商工会議所のカルロ・カンパサ会長は、「ニュースの見出しが間違っていることは事実だ。今は一緒にいて、前進する新しい方法を見つけなければならない。私たちが見ているすべてのファッションの背後には、私たちが努力して守らなければならない民生があるからだ。ファッションウィークでは、私たちの間に何らかの競争がありましたが、最終的には私たちは同じ有機体であり、すべての人が成功することを望んでいます」

アイデアの前進は絶えずすばらしい

イタリアのファッション業界は半年近く停止しているが、各ブランドの素晴らしいアイデアは停止していない。

最も注目されるショーは、ラフ・シモンズがプラダに加わった後の初ショーをもたらしたプラダ2021春夏シリーズの発表会だ。今年2月のミラノファッションウィークでは、ベルギー出身の有名デザイナーRaf SimonsがMiuccia Pradaの共同クリエイティブディレクターとして後者の同名ブランドに参加し、すぐにファッション圏全体を騒がせたと宣言した。ファッション業界にとって、2人のトップデザイナーが1つのブランドに勤務するのは史上初で、2人のファッション業界のトップを集めたプラダに期待する業界関係者も少なくない。今回のプラダ・ショーの現場は無観客のオフラインショー、オンライン放送の形式を取っている。Tステージでは、デザインのインスピレーションの火花がアパレルのテーマとショーの環境を貫く明るい水仙イエローの中で爆発し、2人のデザイナーは一致して日常の作業服をシンプル、精緻、ウェアラブルの概念に再定義し、全体的にシンプルなデザイン風を中心に、一貫した復古と優雅な格調を維持している。Pradaはこれまで「規範的」なファッションの輪郭を好む傾向があり、比較的短い四角形を主とすることが多かった。今シーズンは、モデルたちが特殊な輪郭の肩出しコートを手動で締めているのを見て、ブランドのシンボルであるPradaのロゴが襟元などの随所に見られ、スカートの裾が高くなった裾に柔らかいサテンのハイヒールを合わせて、Raf Simonsの手書きであることが一目で分かった。他にも目を引くPradaロゴの三角形イヤリングやPradaの慣用生地ナイロンを融合させた1990年代のファッションスタイルのハンドバッグなど、Raf Simonsの小さな工夫が随所に示されている。ショーのすべてのモデルも初登場し、これまでT台に上がったことがないほど清潔感のある短編映画だった。エンディングデザイナー2人はインタビューに応じ、世界中のファンから寄せられた質問に答え、今後数年間の2人のコラボレーションがもたらす成果について語った。

プラダが今季のミラノ・ファッションウィークを利用して新たな章を開いたように、Fendiもこれで古い章を終えた。9月9日、英国人デザイナーのキム・ジョーンズ氏がFendi婦人服アートディレクターに正式に任命された。また、Dior紳士服アートディレクターも続投する。Fendiの創始家族から来た現在のデザインディレクターのSilvia Venturini Fendiは、ブランドのメンズとアクセサリーシリーズのアートディレクターを続投するため、今季2021春夏シリーズはKim Jonesが正式にバトンタッチする前の最後のパーソナルシリーズとなる。ショー前の発表会でシルヴィアは、「未来は過去に基づいて構築されたもので、伝統はある家族の中で、世代から別の世代に伝えられているようなものだ」と述べたため、この過渡期には、「家族」というコアな概念をさよならショーのテーマとしてさかのぼった。Fendiは今季、男性用婦人服の統合ショーの形式で物理的に観客と対面することを選び、現場の柔らかい白いソファー、白いリネンカーテンが舞い上がり、家のように快適で自然な空間を作り出した。招待状はさらに趣向を凝らしてFendiのパスタを1箱で代用し、共同創業者のAdele Fendiのレモンソースレシピもあり、家族からの贈り物のように親切だ。Tステージでは、ブランドもモデルの多元化に対する共感と約束を果たし、最近母親になったオーバーサイズモデルのアシュリー・グラハムや、70歳と55歳になったスーパーモデルのペネロペ・ツリー、ヤスミーン・ル・ボンが自信を持って登場し、今季のフレッシュで柔らかい新シリーズのデザインを披露した。デザインは、快適な綿麻素材と自然色系を中心に、ゆったりとした、快適さをキーワードにしており、飾りすぎず、装飾も部分的に細部に集中している。ローマ彫刻のように純白で穏やかで調和がとれており、シルヴィアは夢のような「別れ」を残した。一方、亡くなった「おじいさん」カール・ラガーフェルド氏からバトンを受け取ったキム・ジョーンズ氏は、来年2月にFendiが手掛けた初のシリーズとして発表される。

今のファッションウィークに観客がいないのはニュースではなくなったとしたら、Moschinoのやり方は報道する価値があるかもしれない--彼らのビッグショーにはモデルもいないからだ。アイデアと想像力に満ちたイタリアのファッションブランドMoschinoのデザインディレクターJeremy Scott氏は、30インチの糸を引く人形モデル40体にそれぞれ専属の服を作り、手作りで高定氏に敬意を表した。人形のインスピレーションは1945年の「ファッションシアター」のTシャツの圧巻から登場した。「人形と一緒に仕事をするのが大好きで、このショーを誇りに思っています」とJeremyはCNN Styleとのインタビューで、「実際のモデルと一緒に仕事をした経験と、本当の観客とすべての人を引き付けるエネルギーが懐かしい。すぐにまた顔を合わせて仕事をしたい」と話した。